カルボマーとは?特徴と安全性について

乳液やクリーム、美容液など様々なスキンケア用品にはカルボマーが使用されています。

無添加化粧品などにも含まれているから、肌に使用しても大丈夫と考える人もいれば、合成ポリマーの一種なんだから肌に悪そうと躊躇する人もいます。

そこで今回は、カルボマーの特徴と安全性について詳しく紹介しようと思います。

カルボマーとは?

カルボマーは、合成ポリマーの一つで、正式名称をカルボキシビニルポリマーと言います。水溶性高分子・水溶性ポリマー・増粘剤高分子などと呼ばれることもあります。

ポリマーとは、複数の単量体が結合して鎖状や網状になって重合している化合物のことです。ビニルポリマーと聞くと、ビニール袋のようなものを想像してしまいますが、「ビニル基」を構造に含み、重なり合ってできた化合物ということです。

確かに合成ポリマーは、ビニールやプラスチックなどにも含まれる物質ですが、「ポリマー」自体は、私たちの身体を形成するタンパク質やDNA、美肌に欠かせないコラーゲンなどもその一種です。

カルボマーの特徴

カルボマーは、水溶性の合成高分子で、アクリル酸を主体としています。見た目は白色の粉末ですが、アルカリ剤を加えて中和すると透明のジェルに変化し、水分を包み込む働きをします。

つまり、カルボマーは、液体にとろみをつける役割を持ち、増粘剤として使用されて液垂れなどを防ぎます。多くのスキンケア用品において使用され、乳化安定や皮膜形成を促し肌に定着させる効果を発揮します。

また、微生物からの汚染に強いという特徴も持ち、ゲル化剤としてゲル(ジェル)製品の多くに使用されています。例えば、クレンジングジェルの粘度を出すために使用されたり、美容液の成分を肌に留めるために使用されたりしています。

さらに時間の経過による変質や温度による変化も少ないので、製品の安定性の向上のために用いられます。高分子なので皮膚から浸透しにくく低刺激ですので、ベビーローションなどにも使われていることもあります。

水溶性の合成高分子とは?

水溶性ということは、水に溶ける性質を持つということです。水溶性のポリマーには、ヒアルロン酸やキサンタンガム、ゼラチンなどがあります。

高分子とは、分子量が通常一万以上になる巨大分子のことを指します。そのため、肌の内部へ浸透することがありません。

ヒアルロン酸などは天然高分子ですが、カルボマーは合成高分子です。合成ということは、人工的に作られたということで、弱点をカバーして安価に大量に作ることができるんですね。

カルボマーが使用される理由

カルボマーはどんな理由で使用されているのでしょうか?

以前は、化粧品は天然材料で作られてきましたが、現代の化粧品のほとんどが、カルボマーのような合成化学物質を使用して作られるようになりました。

効率的で安価であるということもありますが、不純物を適切に取り除くことができたり、狙った効果を得やすかったりするというメリットも要因の一つです。その他にもカルボマーには様々なメリットがあります。

粘度の調整

天然成分に比べてゲル化する力が強く、乳液からジェルのテクスチャーまで幅広く粘度を調整できます。その働きは、生理用品や紙おむつなどにも活用されています。

使用感の向上

使用感の向上にも効果を発揮します。カルボマー入りのスキンケア用品を使うと、肌がつるつるになり、見た目もみずみずしくなります。保湿力も高いので、大量の水分を抱え込んで肌に透明感を与えます。

美容成分を閉じ込める

カルボマーによって得られた肌の質感は、肌質が根本的に改善されたわけではなく、カルボマーによって作られた質感です。しかし、カルボマーはスキンケア用品に含まれる美容成分を肌に閉じ込めて浸透させる効果があるため、徐々に自分自身の肌質も向上していくと考えられます。

カルボマーの安全性

カルボマーのような合成化学物質と聞くと、身体に悪そうなイメージを持たれる方も多いと思いますが、カルボマーの安全性についてはどうなっているのでしょうか?

カルボマーはそれ自体に毒性は無く、微生物が繁殖することも少ない安全な成分だと考えられています。以前は、長期間続けて使用していると肌に悪影響を及ぼす危険性を指摘されていました。その指摘の多くが、「皮膚呼吸を阻害する」ということです。

カルボマーを使用したスキンケア用品は、皮膜形成効果により、美容成分をピタッと肌に貼り付け、浸透効果を高めるようにできています。この皮膜を形成する効果によって肌に美容成分を留める反面、ラップのように肌に張り付いてしまうと考えられていました。

肌トラブルは起きにくい

しかし、基本的に人間は皮膚呼吸を行いませんし、プラスチックやラップのように密封性が高いものではないので、カルボマー入りスキンケアを使用しても重大な肌トラブルにつながるとは考えにくいと言えます。

また、カルボマーは高分子なので肌に吸収されることもありませんし、一定時間は肌表面に留まりますが、洗顔時に水で洗い流せば流れて消えていきますし、角質と一緒にはがれ落ちるので安心です。

特に最近の精製技術の進歩により、精製過程での残留物がほとんど無くなっているので、むしろ天然高分子よりも安心だと考える人が多いほどです。