皮脂の成分と役割は?酸化したときにデメリットが生まれる?

「肌トラブルの原因」や「美肌の敵!」と思われてしまいがちな皮脂。

ですが、皮脂はもともと私たちの肌に必要不可欠なもので、決して悪者というわけではありません。

ただし、皮脂は必ずしも肌にとって必要なものかというとそうとも言えない部分もあります・・

ここではそんな皮脂の本来の役割や成分、トラブルの原因や皮脂の持つデメリットについてお伝えしていきます。

皮脂の役割とは?

皮脂は思春期に過剰に分泌されやすく、年齢とともに皮脂の分泌量は減少します。

では、この皮脂は肌にとってどのような役割をもっているのでしょうか?まずは、皮脂が分泌される事によるメリットを詳しく見ていくことにしましょう。

肌表面を保護する役割

分泌された皮脂は汗腺から分泌された汗と混じり合って、肌表面に油膜をつくります。

これを皮脂膜と呼びます。

皮脂膜は天然のバリアとなって、外からの刺激から肌を守ってくれるのです。例えば肌を強くこすってしまった場合でも、油膜が適度に張られていれば、肌が乾燥している時に比べてダメージが最小限で済みます。

また細菌や異物が外から侵入するのを防ぐ役割も担っています。

肌のうるおいをキープする役割

皮脂膜ができることで肌の内側にある水分の蒸発を防ぐことができ、うるおいをキープする役割をになっています。

ただし、保湿の大部分はセラミドなどの他の保湿成分がになっていますので、皮脂は肌の潤いにとって特に重要というわけではありません。

また皮脂は角質層が剥がれるのを防ぐ役割もしており、触った時のごわつきやかさつきを軽減して滑らかな肌にしてくれます。

細菌の繁殖を防ぐ役割

皮脂には抗菌作用もあります。肌表面には常在菌という善玉菌がいますが、その菌が皮脂を分解することによって肌は弱酸性に保たれます。この弱酸性の状態がとても重要なのです。

細菌やカビ、病原菌などは酸に弱い性質があるため、弱酸性の肌では繁殖しにくくなります。

洗顔すると皮脂が落ち一時的に肌はアルカリ性へと傾きます。しかし、肌は弱酸性へと自然に戻る性質があるため15分程度で皮脂が分泌されて自然と弱酸性の肌に戻る仕組みとなっています。

洗顔料などは肌の事を考えて弱酸性の物を選ぶことが多いですが、肌は自然に弱酸性へとpHを戻してくれるので、洗顔料のpH値には特にこだわる必要はないと言われています。

皮脂が分泌される仕組みと皮脂の成分

皮脂は毛穴の中にある皮脂腺というところから分泌されます。

皮脂腺には皮脂腺細胞という細胞があり、その中で皮脂が作られて溜めこまれます。肌表面に皮脂が必要になった時には、その細胞が自ら破裂することによって外に放出される仕組みとなっています。

皮脂の成分について

では次に皮脂を構成する成分を見てみましょう。

皮脂の成分

  • トリグリセリド…約41%
  • ワックスエステル…約25%
  • 皮脂酸…約16%
  • スクワレン…約12%
  • ジグリセライド約2%
  • コレステロールエステル…約2%
  • コレステロール…約1%

トリグリセリド

皮脂の主な構成成分であるトリグリセリドとは、異なる3つの脂肪酸とグリセリン(アルコール成分)が結合した中性脂肪の一つになります。

オレイン酸

皮脂に含まれる脂肪酸の中でも特に多いのがオレイン酸。アルガンオイルや椿オイルが肌に優しく馴染みやすいとされるのは、このオレイン酸がオイルに多く含まれているためです。

ワックスエステル

次に多く含まれているワックスエステルも、脂肪酸とアルコールの結合物です。バリア力・保湿力ともに優れた成分で、ホホバオイルの主成分としても知られています。

スクワレン

次に多く含まれるスクワレン。このスクワレンには、皮膚を柔軟にして滑らかにする働きや、保湿作用などがあります。しかし、スクワレンは不安定な成分で、空気に触れるとすぐに酸化してしまうという弱点があります。

そのため、化粧品等にはスクワレンに水素を添加して、成分的に安定させたスクワランが用いられています。

皮脂の生みだすデメリットは?

肌のうるおいや保護に欠かせない皮脂ですが、分泌量が増えすぎるとトラブルに繋がります。皮脂の生みだすデメリットをチェックしていきましょう。

テカりの原因になる

保湿効果のある皮脂ですが、分泌されるとテカりの原因に…。特に皮脂腺が多い鼻やおでこなどのTゾーンと呼ばれる箇所はテカりやすい傾向にあります。

ニキビの原因になる

毛穴に皮脂や古くなった角質が詰まり、白く膨らんだ状態がニキビの初期段階です。

毛穴の皮脂は洗顔やクレンジングなどで落とすことができますが、過剰に分泌されると除去しきれなくなって詰まってしまいます。

皮脂の酸化に注意しよう

皮脂は肌にとってメリットももたらしますが、時間がたち酸化してしまった皮脂にはデメリットが多く存在します。

朝晩の一日に回の洗顔を行うのはこの古くなった皮脂を取り除くのが主な目的です。

では、皮脂が酸化してしまうとどのようなことが起こるのか見ていくことにしましょう。

臭いのもとになる

皮脂自体に臭いはありませんが、それが空気に触れて酸化することで、嫌な臭いを発生させる脂肪酸へと変化します。

特に頭皮が臭いやすいのは、この皮脂の分泌量が他の部分に比べて多いからなんですね。

また皮脂によって肌表面に増える雑菌も匂いの原因となります。

毛穴の黒ずみの原因になる

鼻の毛穴がポツポツと黒く目立つ…そんな症状にお悩みの人は多いのではないでしょうか。実はこれも過剰に分泌された皮脂が原因です。

毛穴に詰まった皮脂が酸化し、毛穴周りの表皮を傷め、その結果毛穴が黒く目立つようになってしまいます。

皮脂が多く分泌されるのはなぜ?

皮脂が多く分泌され肌に悪影響を与えてしまうのには、次のような原因が挙げられます。

乱れた食生活

脂っこいものの食べ過ぎや暴飲暴食などの乱れた食生活は皮脂の分泌を多くしてしまいます。脂質を控えて、皮膚を健康に保つ働きをするビタミン類を積極的にとりましょう!

保湿不足

保湿不足による肌の乾燥も、実は皮脂の過剰分泌に繋がります。肌は乾燥すると、自らを守りうるおいを保つために皮脂を多く分泌するようになります。

ストレス

ストレスを感じると自律神経が乱れます。自律神経とは、私たちの体の働きやメンタルをコントロールしている神経のこと。

実はこの自律神経はホルモンバランスと直結していて、どちらかが乱れるともう片方も乱れてしまいます。自律神経の乱れによりホルモンバランスが崩れ男性ホルモンが増えると、皮脂腺が発達し、さらに分泌量も多くなってしまいます。

皮脂を上手くコントロールしよう!

皮脂本来の役割をトラブルなくきちんと発揮させるためには、これらの生活習慣を見直すことが大切です。

皮脂をただ悪いものと捉えるのではなく、うまくコントロールして肌を美しくしていきましょう!